「頭を撫でられるのも、こんな風に手を繋がれるのも、困ります…っ。石川部長にとってはどうってことないような事でも、私にとっては違いますっ、馬鹿みたいに一人でドキドキして、心臓に悪くて仕方が無いんです」
あぁ何言ってるんだろう私。
何やってるんだろう私。
勇気を出して誘った映画の帰りに好きな人の前で泣き出して。
そんな情けない姿を晒した上に、上司である石川部長に向かって何て失礼極まりない事を。
今日が、いつか石川部長に告白する日のための第一歩だった筈なのに。
せっかく木嶋がくれたチャンスだったのに、告白まがいの事を言って、自分で台無しにしてしまった。
「…あはは、私何言ってるんだろ、本当ごめんなさ…」
ごめんなさい。そう言いかけた言葉が、石川部長の言葉に遮られる。
「西野、俺をどうしたいの?」
石川部長がそう言って、深くため息をついた。
どうしたいのって、私が、石川部長を…?
そんなの、私が石川部長をどうにかできるわけなんてないのに。
「どうって…わっ!?」
いきなり石川部長に腕を掴まれ、
それをそのまま強く引かれた。
その拍子に石川部長の腕の中に抱きつくようにして倒れ込んでしまう。
「!?」
驚いて顔を少し上げると、石川部長と至近距離で目が合った。
瞬時にカァッと顔が赤くなり、思わず目をそらそうとすると、石川部長に顎を掴まれた。
「え…」
石川部長が形のよい目を細め、その距離がゼロになる直前、唇の上で囁かれた。
「あんまり煽るな」
「……っ」

