「やー、想像以上にかなり怖かったな。
なぁ、西野?」
映画館のロビーに出て人の波から抜け出すと、
石川部長がそう言って意地悪な笑みを浮かべた。
「……っ」
「西野、本当はホラーとか苦手だったんじゃないのか?」
からかうようにクスクス笑われながら石川部長に顔を覗き込むようにしてそう尋ねられ、恥ずかしさやら情けなさやらでカァっと顔が赤くなる。
「そ、それは…」
どうしよう。
本当は苦手でしたなんて認めたら、本当は映画に興味があったんじゃなくて石川部長と映画のチケットを口実に出かけたかったのだと自ら白状するようなものだ。
そう内心で焦って口籠っていると、やがてそんな私の頭の上に石川部長の手が乗り、まるで子供をなだめるかのように頭の上で優しく二回はねた。
「まぁでも、最後まで耐えて頑張ったな」
優しい声でそう言われたのが駄目だった。安心したのか一気にこらえていたものが解け、引き金をひかれたようにして涙が溢れた。石川部長が驚いたように小さく目を見張ったのを見てハッとする。

