隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー


急に深く考えずに軽く発言した案とも言えないような案を拾われて、戸惑いながら返す。

「でも、ティッシュよりもずっと費用がかさみませんか?」

クッキーにQRコードを印刷するとなるとその費用までもが加算される。
ポケットティッシュでの広告の利点は、あまりコストがかからない事だ。

「少しの費用であまり効果の見られない宣伝を続けるより、かさんでもいいから効果のあるやり方で宣伝した方が効率がいい。」

「そ、そうでしょうか」

石川部長はそう言ってくれているけど、
もし私の案が拾われたせいで費用だけが飛んで宣伝効果が見られないなんて事になったらどうしよう。

そんな不安が表情で伝わったのか、石川部長がそんな私を見てクスっと小さく笑う。

「俺はいい案だと思った」

石川部長の茶色の差したような瞳が優しく微笑んで、思わず心臓が音を立てた。



♢♢♢


石川部長にその企画書を書くように頼まれ、
書類を持ってデスクに戻った時にはちらほらと他の社員も出社していた。