こんな視界良好なコンディションで街にくりだすなんていつぶりだろう。
周りの目を気にしながらも、ドキドキとして待ち合わせ場所へ向かう。
過去の事がトラウマになって過剰に気にしていたけれど、こうしてみると意外と誰も私の事なんて見ていないんだなと思う。
当たり前だけど私は梨架ではないのだから、オーラや存在感なんてものはもちあわせていない。
すごく人気のある女優さんだって、電車に乗っていてもあまり気づかれないし、声もかけられないと言っていたのをテレビで見たこともある。
むしろ今までのように前髪で顔を隠したり、地味な格好をしたりしてビクビクとしている方が変に悪目立ちをしてしまうんじゃないか、なんて事に今更気がつく。
そんな風に感情に浸りながら駅にたどり着き、
待ち合わせ場所に石川部長の姿を見つけた。
「……わ」

