木嶋に背中を押されて向かった先は、もちろん石川部長の所だった。
少し歩いて探して回ったが、給湯室でコーヒーを飲む石川部長をあっさりと見つけた。
「い、石川部長」
そう呼びかけると、カップを持った石川部長が振り返った。心臓が跳ねる。
(勢いで声かけちゃったけど、どうしよう)
「西野。どうした?」
「えっと…この間はお昼、ご馳走様でした。
あのお店すごく美味しかったです」
結局お代も石川部長が払ってくれたのだ。
「あの店美味いだろ。俺も西野と初めてゆっくり話出来て楽しかったし、また行こうか」
「……はい!」
また行こうか。
石川部長はきっと何の気なしに言ったに違いないその言葉が、内心で飛び跳ねてしまいそうになるくらい嬉しかった。
あぁでも今日はここで喜んで満足しちゃ駄目だと自分に言い聞かせる。

