「石川部長、今日、お昼一緒にどうですか?」


自分でも驚くほど情けない弱々しい声でこぼれたそんな言葉は、以前の私からは考えられないほどに大胆なものだった。

「でも西野、お前体調は大丈夫なのか?」

そんな石川部長の返しに、さっきそんな嘘をついてしまっていたんだったと思い出す。
あぁそうだった、
私は今風邪だっていう設定で…。

「西野が風邪をひいても食欲があるタイプなら、今日行こうか」

「…はい!」

そんな石川部長の言葉に、体調が悪い設定なんてどこかへいってしまうほどの笑顔で返す。

話の流れからてっきり断れると思ったから、余計に嬉しい。

二人きりで食事…これは大きなチャンスかも。