「莉子ちゃん、待ってたよ」

ヘアメイク室の中で待っていたのか、安藤さんがきょとんとした顔で部屋に入ってきた私にそう言って微笑む。

梨架はさっき、安藤さんに髪を切ってもらった、と言っていたが、そういえば元々安藤さんは梨架のマネージャーになる前は美容師さんとして働いていたんだったっけ。

「お久しぶりです。あの、梨架の髪を切って貰ってありがとうございます」

どうして私まで連れてこられたのか上手く理解できないままそう言ってお礼を言った時。


「うん。じゃあ莉子ちゃんもここに座って」

「は?」


(どうして私まで…?)


「安藤さんすっごく腕いいし、ついでにお姉ちゃんの髪もお願いしますって私が頼んだの」

私の内心に答えるようにして梨架がそんな事を言う。

「ええっ?」