食事を終え、会計を済ませてから少し急いた足で駐車場に戻り、また莉子を助手席に乗せた。
「湊人、美味しいお店に連れて行ってくれてありがとう」
車が走り出すと同時に莉子がそう切り出した。
運転中で前を向いているから隣に座る莉子の表情は見えないが、膝の上にのった莉子の両手がきゅっときつく握られているのがわかった。
「今も昔も…ずっと私に優しくしてくれてありがとう」
「………。」
「それなのに、勝手に勘違いしたり、酷いこと沢山言ったりしたりして本当にごめんなさい」
そう言う莉子の言葉の語尾が力なく震えているのがわかった。
「いや、不安にさせるような事をしたのは俺の方だから、莉子は悪くないよ」
莉子に、莉子の個性に気がついて欲しかったから、梨架と莉子を比べるような事を沢山言ってしまっていた。
莉子の為だと思ってやっていた事が、最終的には莉子を苦しめて傷つけて、余計にコンプレックスをつつくような事をしてしまっていた。
あの頃の俺が、もっと器用に莉子と向き合えていたなら。
そんな後悔は尽きない。
莉子は悪くない。
そう言って、あぁそう私は悪くないと思う莉子ではないから余計にだ。

