隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー


戸惑いながら振り向く私に、
石川部長は掴んでいた手を離してポケットティッシュを差し出した。

「…え?」

「それあげるよ。というかもし街中でそれ貰ったとして、西野はどうする?」

ん?どうするって言ったって…。

石川部長の質問の意図が分からないまま、
とりあえず差し出されたポケットティッシュを恐る恐る受け取った。

カバーにはどこかの不動産屋の広告の紙が挟んであって、可愛らしいキャラクターが吹き出しの中で何やら宣伝文を話している。
よく街中で配られているようなありふれたポケットティッシュだ。

「えっと…取り敢えず貰って置いて、鞄の中に入れておいて、必要な時に使います」

私がどうというより世間一般的なポケットティッシュの使い方についてそう述べると、
石川部長はそうだよなぁと言って笑った。

どこか残念そうなその表情を見てあっと気がつく。もう一度ポケットティッシュに視線を落とすと、そのカバーには確かにサイトへ飛ぶためのQRコードがプリントされていた。