「そんな事より、梨架は明日早いんだから早く食べて早く寝ないと」
「え、そうだっけ」
目を少しだけ丸くした梨架に、
呆れながらも続ける。
梨架がこんな感じだから、マネージャーの安藤さんに頼んで梨架のスケジュールは毎度私に直接連絡して貰うように頼んでいるのだ。
「スタジオに朝の7時入りでしょ。雑誌でドラマのキャストインタビュー。明日会社に行く前に乗せていくから、寝坊しないでね」
「は〜い」
そう言って梨架はコクコクと頷いて箸を口に運ぶ速度を速めた。
♢
──翌日。
寝起きの悪い梨架を一生懸命起こして簡単な朝ご飯も食べさせ、梨架を撮影場所まで送り届けてからそのまま会社へと出社した。
いつにも増して静かな会社の廊下を歩くとコツコツとヒールが鳴る音が響いて、今日は早く会社に到着したことに気がつく。

