声を出すな。
声を出したらきっとこの男は喜ぶ。
この男の喜ぶ事をするな。
そう思うのに、抵抗するのをやめられない。
細菌が身体中に広がっていくような感覚に意識を手放しそうになる。
…でも、今意識を失ったらどうなる?
意識を手放したら楽になれるかとも思ったが、もう二度と意識を取り戻せなくなる恐怖の方が勝った。
死んでも気を失う訳にはいかない。
それこそ死ぬ、殺される。
…でも助かる道がわからない。
私、死ぬのかな。
バラバラにされるのかな。
行き場のない恐怖は、最終的には涙に行きついた。
涙で視界が歪む。
どうせ死ぬんなら、あんなメール見なきゃ良かった。
最後の日まで、湊人と居たかった。
湊人を好きでいたかった。

