嫌なんかじゃない。
腫れ物みたいに扱われたいんじゃなかった。
でも、ただ男というだけで私が拒絶したんだ。
苦しい。
…触れて欲しいなんて言えない。
遠のく意識の中で、古い記憶が鮮明にフラッシュバックする。
あれは、湊人と梨架のメールが送られてきた次の日の事だった。大学からの帰り道。
駅についてから家に帰るまでは15分程歩く。
自転車を使うと髪型が崩れるのが気になって、いつも自転車は使わないで歩いて行き来していた。
ものすごく雨が降っていたのを覚えている。
今日のような雷も。
雨音と雷鳴のせいか、背後から異常に近づいてくる車の音にちっとも気がつかなかった。
いきなり体を強く押され、バランスを崩した所を今度は急に腕を掴んで支えられたかと思えば、口元を大きな手で覆われ、声も出せないままに頭を殴られて私は意識を手放した。

