医院長「この姿を見ても
嫌いだと思うかね?」

ーカチッ

医院長がスイッチを押すと
オペ室の中の声が鮮明に聞こえる。

看護師「先生、心停止です。」

雄大「お願いだ!!
山野さん戻ってきてくれ!!」

見ているこっちが辛くなるほど
冴島先生は何度も何度も
心臓マッサージを繰り返していた。

小林「冴島先生‥‥やめましょう。」

雄大「‥ですが‥!」

小林「これ以上は
患者さんが可哀想です。
もう逝かせてあげましょう。」

肋骨が‥‥折れてる‥‥。
それほどまでに強い力を込めて
冴島先生は山野さんを
助けたかったんだ。

医院長「冴島くんは誰よりも
患者さんに生きて欲しいと願ってる。
最期の最期まで諦めずに。
最期の1秒まで患者さんに
幸せな時間を生きて欲しいと。
そして、その努力を惜しまない。」

医院長がハンカチを手渡してくれる。

医院長「彼は研修医の頃から
死に直面しても涙なんて見せなかったよ。」

驚いた‥‥俺、泣いてる‥。