稀「何?」

雄大「当ててみ?」

稀「うーん。その袋
どっかで見た事ある気がする。」

雄大「稀の好きなスカイドーナツの
ストロベリーリング。
買ってきたけど雅喜と喧嘩してるなら
家には来られないもんな。
残念だったなぁ。せっかくの
ドーナツだったのに。」

俺のその言葉に稀は頬を膨らませた。

稀「雄にいの意地悪!
仲直りするもん。
ドーナツのために、雅喜と。」

雄大「ふふ。えらいえらい。
ほら、おいで!」

子犬のように尻尾を振って
ついてくる稀の事が
可愛くて仕方がない。

たまたま買ってきたドーナツが
こんな事に役立つなんて
思ってもみなかったけど
ドーナツを頬張りながら
幸せそうな顔をする稀の表情を
見ていると俺も幸せな気持ちになった。

ーENDー

雄大「ふ。懐かしいなあ。」

スヤスヤと寝息を立てる
稀の寝顔はあの頃と何も
変わってないはずなのに
俺たちの時は確かに流れていた。

残酷な記憶をそれぞれの
頭に残したまま今日も確実に
時を刻んでいく。