稀「雅喜ってさ鈍感だよね。」

雅喜「はぁ?」

言ってしまいそうになる。
俺がずっと隠してきた
この気持ちが溢れ出しそうで
俺はいつも酷い態度しか取れない。

稀「私の事、何でも知ってる
みたいな顔するくせに
全然何にも分かってないじゃん。」

知ってるよ。俺はもう稀の事を
何にも知らないって事くらい。

稀は雄にいの事が
好きだと知ったあの瞬間から
友達だと思えなくなった。

その頃から
俺たちはすれ違い始めたんだ。

雅喜「そんな顔してねぇし。
そもそも、お前の事
別に知りたいとも思わない。」

稀「もういいよ。
あんたなんか大嫌い!」

喧嘩なんてしたくないのに
いつも喧嘩になる。
怒りながら出て行く稀の腕を掴む。

雅喜「いつでも来いよ。」

稀「え?」

稀の上目遣いが俺の鼓動を早くする。

雅喜「雄にいの事とか関係なくて
お前が来たい時に来ていいから。」

稀「今更、遅いよ!」

稀は俺の手を振り払い
バタンと扉を閉めた。