成美「うーん。
好きな人の願いが叶う時かな。」

雄大「好きな人の願いが叶う時?」

成美「例えば、私に彼が出来て
その彼に一緒に行こうって
言われたら私は行くと思う。」

雄大「ふーん。単純だな。」

成美「単純なもんだよ。
誰だって、大切な人の願いは
叶えたいって思うものだよ。
だって、いつだって好きな人には
笑ってて欲しいでしょ?
人の気持ちって意外と単純だよ。」

俺はカバンの中から
稀に渡せないままのリングを取り出す。
もうそろそろ‥なのかな‥。

成美「まだ持ってるの?
さっさと渡してあげればいいのに。」

雄大「稀ともっと距離を
縮めたいとは思うよ。
でも、今のままの関係を
壊したくないとも思うんだ。
でも、決めた。
もう逃げるのはやめる。」

成美は立ち上がると
俺の背中をバチンと叩く。
その勢いに任せて
俺は稀の元へと走った。