大輔「冴島先生。」

雄大「どうした?」

大輔「もう俺、錠剤でも平気だから。
先生が一番効くと思う薬出してよ。
俺、1日でも長く生きたいんだ。」

あれから、8年が経った。
そうか。もう彼は高校生なんだ。
時の流れに気付かない俺は
その風貌の変化にさえも
気付けずにいた。

毎日、何十人。毎月、何百人もの人を
診る俺は、いつの間にか主治医である
患者の変化にさえも気付けなくなっていた。

俺を頼って通院してくれている
この子にそんな事を言わせてしまった事が
ものすごく申し訳なかった。

俺は着実に願っていなかった
医者へと成り果てていく。