病院に着くと俺たちは
手術室へと2人を運ぶ。

ここから先、俺たちは何も出来ない。
研修医と医大生。
その時、俺は初めて早く
1人前の医者になりたいと思った。

この手で人1人救えるくらいの医者に。
大切な人の命を救える医者に。
初めてなりたいと思った。

手術が終わると坊ちゃんは
俺の顔を見ながら頷いた。

これから起こる事は容易に想像がつく。

医者としては当然の事。
でも、俺にとってそれは
言えなかった言葉を伝える
やり直しのチャンスでもあった。

坊ちゃんと共に手術室を出ると
彼女が俺たちの元へ駆け寄ってくる。