脩「雅喜先生。大家さんに合鍵を...」

雅喜「離れてろ。」

嫌な予感がした。
俺が最も避けたかった現場が
目の前に広がっている様な気がした。

数回ドアに体をぶつけ開いた
その空間は息も出来ない程だった。

坊ちゃんと俺は目張りされた
ガムテープを剥がし
出来る限りの窓を開けた。

雅喜「運ぶぞ。」

脩「でも、救急車を...」

雅喜「そんな事言ってられるか!
歩いてすぐの距離だ。
おぶっていく。」

脩「分かりました。
手術室の手配はしておきます。」

もう見たくない。俺は。
人が死ぬ姿ではなく...
残された人間が絶望へと
堕ちていく姿を見たくはなかった。