純真無垢な幼い頃の私達は
この幸福が永遠に続くと信じていた。
でも、やがて大人になった私達は
幸福なんてない事を思い知る。

それでも、いつか幸福が
訪れると望みを持てるのは隣にいつも
彼がいてくれたからなのかもしれない。

柔らかな春の日差しで目が覚める。
隣には温かな温もり。

そこにはスヤスヤと眠る
雄にいがいた。
雄にいの右腕は大切そうに
私の事を抱きしめている。

その手をそっと布団の中に入れ
私は静かに起き上がる。

雄大「‥稀。おはよう。」

稀「おはよう。
ごめん、起こしちゃった?」