愛情の深さなのか
根気強さなのかは分からない。
でも、いずれにしても
俺は雄にいに負けている。

ポケットに入ったままの紙切れ。
雄にいからもらった稀の勤務先が
書いてあるそれを俺はまだ
見た事がない。

見てしまったら会いたくなる。
でも、俺に会う資格はあるんだろうか。

雄にいが長い歳月をかけて
手に入れた幸せを俺が
ぶち壊しにしていいのだろうか。

脩「でも、雅喜先生の気持ちも
分かりますよ。」

雅喜「え?」

脩「要は大切さの度合いじゃないですか?」

雅喜「大切さの度合い?」

脩「大切にしたい人よりも
好きな女の方が大切なら
奪うべきだと思います。
でも、心に迷いがある内は
悩むべきだと思います。
そして...答えが出たら真っ先に
大切にしたい人に伝えるべきです。
大丈夫ですよ。冴島先生なら
雅喜先生の言葉にもきちんと
耳を傾けてくれますから。」