あの日、雄にいに言われた言葉が
リフレインする。

『本気で探す努力も
した事ないくせに
知った風な口聞くな。』

あの時、俺は知ってしまった。
探してるフリをして俺は心のどこかで
諦めていたんじゃないかって。

探すよりも俺は待つ事を選んだ。
稀がいつ、あの街に帰ってきても
いいように意固地になって離れなかった。
でも、やるべき事はそうじゃなかった。
あの街を離れたのが稀の意志なら
待つのではなく探しに行くべきだった。

でも、多分、俺は雄にいみたく
1年半もの時間をかけて
探す事はなかっただろう。