遠くで打ち上がる花火の音。
俺はこの季節が嫌いだ。
俺たちの日常を一瞬にして
奪い去ったこの季節が。
知らず知らずのうちに俺は
あの夏祭りの日の事を思い出していた。


結局いつも稀と喧嘩してしまう。
喧嘩したくないと思っているのに。
稀の顔を見るとどうしても
嫉妬心が勝ってしまう。

意地を張っていても仕方がない。
謝ろうと思い、稀の家へ行くと
稀はいなかった。
その足で堤防沿いへ向かうと
やっぱりそこにいた。

雅喜「何してんの?」

稀「何だっていいでしょ。」