でも、もう限界だった。
俺の考えだけじゃ今のこの
状況を打破出来る案はもう
思いつかない。
蒼太「だったら、冴島先生は
どうするんですか?」
雄大「一緒に臆病者になるんだよ。」
蒼太「臆病者?」
雄大「柳瀬は早期研修医時代に
言っていた。自分は臆病者だと。
だから、俺は立派な医者に
なれると思ったんだ。」
蒼太「どういう事ですか?」
雄大「臆病者だからこそ人の命を救える。
絶対に成功する。俺ならこの患者の
命を救える。自分を過信した強気な医者は
必ずどこかで失敗する。
成功率の低い手術を任された時
もしも目の前の患者が亡くなったら
どうしようと怯えてる人間は
より強くその患者を助けようと思える。
臆病だからこそ救える命は沢山ある。
それもまた医者として大切な事だ。」