怜くんの病室を後にした俺は
冴島先生の元へと戻る。

雄大「怜くんと話せたか?」

蒼太「はい。話せました。
あの、冴島先生は知ってたんですか?」

雄大「何がだ?」

蒼太「彼には命よりも大切なものがあるって
知ってて俺にアドバイスしてくれたんですよね?」

雄大「チェロの事か?」

蒼太「やっぱり知ってたんですね。
担当医なのに俺
全然知らなくて‥本当
なんてゆーか最悪ですね。」

分かった風な事を言って
分かってないのは俺の方だった。

俺はずっとこの世の中で
最も大切なものは命だと思っていたから。