翠「あーあ、どこかに
いい男、転がってないかなあ。」

ため息をつきながら遠い目をする翠。

松下「篠宮!」

稀「ああ。松下くん。おはよう。」

松下「この間、話してた
兄貴の参考書とか色々。
今朝持ってくるの忘れてさ。
4限終わったら取ってくるから
ちょっと待っててくれない?」

松下くんは、私がこの大学で
唯一仲良くなった男友達。

雅喜と少しだけ似てる所があって
男の人は正直言って苦手だけど
松下くんに対しては不思議と
嫌悪感を抱かなかった。

何よりも、歳上の私の事を
同級生として扱ってくれる
その優しさが嬉しかった。

稀「今日じゃなくても
明日で大丈夫だよ。」

松下「そうやって先延ばしにするの
良くないだろ?家近いからさ
ちょっとだけ待っててよ。」

稀「うん、ありがとう。」