日勤が終わる午後16時半を
過ぎた頃、帰り支度もせず
柳瀬は熱心に資料に目を通していた。

雄大「何してる?
今日は日勤だっただろ?」

蒼太「ああ、冴島先生。お疲れ様です。
そうなんですけど
まだやりたい事があって。」

雄大「張り切りすぎるのも良くないぞ。」

蒼太「分かってます。
でも、気になるんですよ。」

雄大「何が気になるんだ?」

蒼太「105号室の吉川 怜くん。
手術は受けないの一点張りで
ご両親はすぐにでも手術してくれって
言ってるんですけど本人は
なかなか首を縦に振らなくて
板挟みで困ってます。」

それは誰しもがぶち当たる壁。
周りが賛成していても
当の本人が首を振らない限り
手術をする訳にはいかない。
緊急を要する時以外は。