笹野「どうゆう意味ですか?」

稀「1+1=2。そうやって
目に見えるもので示されると
とても安心出来るよね。
正解があるって凄く大切な事だよ。」

だけど、彼女の気持ちはよく分かる。
私も導き出せない答えをずっと
探しながら生きてきたから。

稀「でも、生きる上での正解は
どこにもない。現代文みたいに
よく知りもしない相手の事を
知ろうとしなければならない。
日本史や世界史を誰よりも
知っていたとしても、難しい数式を
解く事が出来たとしても
科学の原理を頭に叩き込んでも
ほとんど人生に役立つ事ってないと思うよ。」

笹野「臨時とはいえ篠宮先生は
教師なんですよね?」

稀「うん。端くれだけど教師だよ。
本当はこんな事言っちゃいけない。
勉学を教え、正しい道へと導く。
それが教師の仕事だよ。
でも、今、笹野さんが現代文に
必要性を感じていないのなら
知って欲しいんだよ。
頭がいいって武器だけじゃ
現実世界は上手く生きられないよ。」