雄大「あの病院が業界で
何て呼ばれてるか知ってる?」

蒼太「いえ。」

雄大「最後の砦。」

蒼太「最後の砦ですか?」

雄大「うちの科が受け持つ
患者のほとんどは他病院で
治療を受けられない。
もしくは今の医療では
助からないと診断された人なんだ。
最大の医療技術と最新の医療機器を
備えたうちの病院で助かる命も
もちろん沢山あるよ。
でも、その内の半数近くの人は
うちの病院で息を引き取る。」

俺の知らない現実は過酷だった。

雄大「残された余生を楽しむために
あの病院を選ぶ人も少なくはない。
1日に何人もの人が息を引き取る。
俺たちはただその姿を
見守る事しか出来ないんだよ。」

その不安げな瞳を見て尚更思う。
やっぱり冴島先生は医者になんて
なりたくなかったんじゃないのかと。