彼女が部屋に入ると冴島先生は
ソファに座り缶ビールのプルトップを開けた。

雄大「柳瀬もまだ飲むか?」

蒼太「はい。いただきます。」

冷蔵庫から缶ビールを取り出し
机に置くと開けたばかりの
ビールを美味しそうに1口飲んだ。

蒼太「あの、冴島先生。」

雄大「何だ?」

蒼太「今日は誘って頂いて
ありがとうございます。
昨日の事なら平気ですから。
ご心配おかけしました。」

雄大「無理に忘れる必要はない。」

蒼太「え?」

雄大「むしろ、忘れない事が大切だから。
亡くなった患者の事をいつまでも
忘れない。それも医者としての
立派な仕事だと俺は思う。
でも、もしもその事実が柳瀬を
苦しめるのだとしたら忘れた方がいい。」