駅前でしばらく待っていると
雄にいは走って来てくれた。
雄にいの行きつけの居酒屋に
着くとビールを注文し
俺たちはとりあえずジョッキを
つき交わした。

雄大「柳瀬から聞いたよ。
西園寺記念病院にいるんだって?」

雅喜「ああ。」

雄大「脩くんに迷惑かけるなよ。」

雅喜「あの坊ちゃんと知り合いなんだな。」

雄大「まあ、彼は旧友みたいなもんだ。
で、どうした?話があるんだろ?」

雅喜「うん、今日さ病院で
ちょっとした騒ぎがあって。
運ばれてきた患者がウイルス
持ってるかもしんねぇとか何とかで
緊急避難するまでの騒動でさ。
結局、何ともなかったんだけど
俺、自分が感染したらどうしようって
思ったら、身動き取れない患者を
置き去りにしようとしてたんだ。
他の医者や看護士は自分が
感染するかもしれねぇのに
一生懸命、患者の事を運んでて
バカじゃん、こいつらって思っちまって
やっぱり俺、医者に向いてないわ。」