―学校にて―

「ねえ、瑠璃!誰だったの?」
私が教室に入って、荷物を置いてすぐ魅音が教室に入ってきて、真っ先に私のとこに来た。
「誰って?」
反応するのが面倒だった私は、軽い対応で返した。
「白々しいなー、分かってるでしょ?運転手さん!」
魅音が、興味津々に聞いてきた。
「あーね」
「で、誰だったの?」
今すぐにでも、答えてほしそうに聞いてきた。
「いつものカッコいい人」
私は、高城さんの時はこうやって誤魔化してる。
「それって羽水さんのこと!?」
「うん」
(まあ、カッコイイのには変わりないけど…興味持たれたくないし…)
「相変わらず、カッコよかったよ」
「はぁ〜いいな〜、私も乗りたい!」
魅音は、うっとりとした表情で言った。
「ハイハイ、勝手に乗ってくれば?」
私がこう返すのもいつもの事だ。
いつもの事だから、魅音は慣れたのか私が冷たく返したのをスルーして、
「ねえ、今度いつカラオケ行ける?」
と聞いてきた。
魅音が唯一バスに乗ることが出来るのは私の家の近くにあるカラオケに行く時だけだった。
「別に、日曜日ならいつでも行けるよ」
「本当!?じゃあ、今週の日曜日、遊ぼ!」
(そこまでしてバスに乗りたいかな…?)
そんなことを思いながら、口では「いいよ」と返した私だった。
私は仕方なく、今週の日曜日に魅音とカラオケに行くことにした。