2000年7月
私と賢太郎さんはそれからも連絡を取り続けた。
初めて誰かを好きになった。
初めてのデートは私達らしく、コンサートだった。
好きな人が隣にいてドキドキして集中して観れなかったけれど、とても楽しかった。
その後、私達は大阪でディナーに行った。
そこで賢太郎さんは私にこう言った。

「楓さん。僕は楓さんのことが好きになってしまったようです。毎日あの日から楓さんが頭から離れません。だから、僕とお付き合いしてください。」

あまりにも突然で、しかもとても大きな声だった。
静かな高級レストランに響き渡り、一斉に視線が私達に集まった。

「私も賢太郎さんのことが好きです。是非よろしくお願いします。」

レストランは拍手で包まれた。
私達はとても幸せだった。
その日の帰り、私は初めて男の人と手を繋いだ。
そこから私達は海遊館の近くにある大きな観覧車に乗った。
それが、私と賢太郎さんが一緒に乗った最初で最後の観覧車になるとは知らずに……