「とりあえず自己紹介しよっか!私、今日の幹事の青木三葉です。商社で働いてます!23歳です!京子と祐也くん以外皆はじめましてだね!今日はよろしく!」
「聖(ひじり)女学院中等部で英語の教員をしている、橋本京子です!23歳です!よろしくお願いします!」
「聖女学院ってすごいお嬢様学校だよね?女の先生のほとんどが卒業生って聞いたことある。」
「そうですね〜。私も、隣にいる楓も聖女学院出身ですよ。私はそのままエスカレーターで大学に行ったんですが、楓は音大に行ったんですよ!楓すごいんですよ!家も豪邸ですし!」
「そうなんだ!楓ちゃんはどこに住んでるの?」
「えっと、兵庫県芦屋市の六麓荘町ってところです。」
「え!?六麓荘!?まじ?毎日芦屋から大阪まで通ってるんだね。六麓荘かぁ…楓ちゃん超お金持ちだね。すごいね!」
「父が凄いのであって私が凄いわけでは…。あの、お名前をお伺いしても…?」
「あ、悪い悪い、俺は松村祐也。俺の右にいて楓はちゃんの前にいるのが坂井賢太郎。俺の左にいるのが上原匠。慶應の同級生なんだ。俺は三葉と同じ商社で働いてて、賢太郎と匠は銀行員だよ。」
「そうなんですね!皆さんキラキラしてます!今日は楽しみましょう!じゃあ、乾杯!!」

こうして合コンがはじまった。
松村祐也くんと京子ちゃんがいい感じになって、上原匠くんと青木三葉ちゃんがいい感じになって、私と坂井賢太郎くんが残されてしまった。

「あの…楓さんは合コンってはじめてですか?」
「え?あ、はい。初めてです。」
「じつは僕も初めてなんです。松村に誘われて来たものの何を話せばいいかわからなくて…。」
「私も同じです。男性と遊んだのも初めてなんです…。ずっと女子校でしたし。」
「え!?そうなんですか!?美人だからモテるのかと…」
「いえいえ、そんなことないですよ。でも、京子ちゃんも三葉ちゃんも凄いです。初対面の男の人とこんなに仲良くなれるなんて。私男性の免疫なくて…。」
「僕も合コンとか苦手です。ちなみに、趣味とかありますか?僕はオペラ鑑賞なんですが。」
「え!?オペラ好きなんですか!?私、大学で声楽専攻だったんですよ!私もオペラは大好きです!」
「え、そうなんですか!てっきりピアノかバイオリンかと思ってました!ちなみに好きなオペラは?」
「フィガロの結婚!」
「僕もです!気が合いますね!はじめてオペラ好きの方と出会いました!」
「私もです!すごく嬉しい〜」
「ぜひ、メールアドレス交換しませんか?もっと話がしたいです。」
「はい、是非!」

これが私と賢太郎さんの出会いだった。
お互いに無理矢理連れて来させられた合コンでの運命の出会いだった。