美影が泣き止み、私と美影は、魔法で琥白と瑠梨のいる所へ戻った。

「お母さん、お父さん。おかえり~!」

「ただいま!」

美影は、桜の頭を撫でる。飲食店の窓から入ってきた太陽の光が、美影と私が薬指に付けている銀の指輪を輝かせた。

カランカラン、とベルが鳴る。入ってきたのは、私が見知った人だった。

「は、橋本先生!?」

私と美影、琥白と瑠梨は、同時に言った。私達の姿を見た先生は、私達の方に寄ってくる。

「よう。若竹(わかたけ) 氷翠、近藤 美影、山吹 琥白、紅月(あかつき) 瑠梨。元気だったか?」

橋本先生は、私達が魔法学校に通っていた頃に魔法演習を教えてくれていた。

「まだ僕達の名前を覚えているんですね」

美影が言った。橋本先生は「忘れるわけがない。若竹は『学校史上の天才』と言われていたし、近藤は、魔法の成績は若竹に負けず劣らずだったからな」と言った。

杏奈ちゃんは、瑠梨にくっついて離れない。桜も私にくっついて、顔を上げようとしない。この先生が怖いのか…?

「先生、子ども達に怖がられてますよ」

私が苦笑いをしながら言うと、先生は「…とりあえず、元気そうで良かった…じゃあな」と言って案内された席に座った。