「美影!久しぶりだな!」

図書館に入ると、琥白と瑠梨がいた。琥白と瑠梨に手を繋がれた女の子が私達を見て、驚いている。

「わ、私は…山吹 杏奈(やまぶき あんな)…」

恥ずかしそうに顔を赤くしながら、女の子が自己紹介をした。

「私は、近藤 氷翠。こっちが近藤 美影…」

「桜は、近藤 桜って言うんだ~!」

私は杏奈ちゃんに自己紹介をする。すると、向こうも自己紹介を始めた。

「俺は、山吹 琥白!」

「私は、山吹 瑠梨…」

名字が違うと違和感あるなぁ…、と思った私は「琥白、瑠梨久しぶり!」と言って笑った。

「皆がそろったし…では、あそこへ行こう!」

美影がそう言うと、パチンと指を鳴らした。タイミング良くかけた魔法が私達をとある店の前に移す。

「魔法か…久しぶりに見たな」

琥白が呟いた。琥白と瑠梨は、魔法とは関係のない仕事をしている。理由は知らない。

「さすが。魔法職をしているだけ上手いね…」

瑠梨が店のドアを開けながら、言った。カランカラン、と音を立てたベルで店長が顔を出す。

「いらっしゃいませ。琥白くん、瑠梨ちゃん…今回もお客様として来たんだ…えっと…そっちは?」

琥白と瑠梨は、この飲食店で働いている。この店は、広くない。普通に周りを全て見渡せてしまう。