私は、休日に瑠梨に呼ばれて、あの飲食店に来ていた。

私がドアを開けるとカランカラン、とベルが鳴った。私は、店内を見渡す。

「氷翠!こっちだよ!」

瑠梨が私を呼んでいる。私は、瑠梨に近づき「こんにちは」と微笑んだ。そして、瑠梨の向かい側の席に座る。

「…私、氷翠を呼んだのには理由があるんだ」

瑠梨は、真剣な顔で私を見つめた。私は「どうしたの?」と問いかける。

「…琥白に、感謝を伝えたいの」

「…どうして?」

「私は、今幸せですって伝えたことなかったから」

「なるほど…そう言えば、私も伝えたことないなぁ」

私はテーブルに目を落とし、考え込んだ。どうやって『幸せです』って伝えようかと。すると、私の頭にある考えが浮かぶ。

「…そうだ!魔法を使って伝える?」

「魔法を…?どうやって…?」

「こうやって」

私は、魔法を水に入ったコップにかけた。コップの中に小さな花束が出来ている。それを見た瑠梨と店長が「…すごい」と呟いた。

「この魔法は、魔法学校で習っていないけど…瑠梨でも出来ると思うよ」

「…そうかな」

「私が教えるよ。魔法を教えるのが私の仕事だから」