目を開けたら、そこは何でも叶うおとぎの世界!

私はその国のお姫様で、

目の前には素敵な王子様が‥‥‥‥。


なんてことが、ある?

少なくとも、この私、藤原美琴にはない。

目を開けたら白い天井に横には

いつも親戚がくれるお見舞いのたくさんの花。

今日もこの病室のベッドで 私の一日は、始まる。

朝起きると、看護婦さんがやってきて

体温やら何やらを測って、適正だと何もなく、

バランス重視の体に良さそーうな朝食が

運ばれてくる。

そしてそれを一人で無表情で食べる。

ここで残すと、ママもパパも医師も、

私の体をまた心配するので、

必ず完食しなくてはいけない。

野菜炒めを食べ終わり、デザートのゼリーを

食べながらふと窓の外を見た。

今日から世の学生たちは夏休みに入る。

私の高校もだ。

一応都内の私立高校に在学はしている。

私は生まれつき心臓が悪く、

普通の子達と同じように過ごしたりは

できなかった。

中学一年生の一学期の終業式。

私はとうとう学校で発作を起こしてしまった。

とうとうというか、それまで起きなかったのが

不思議なくらいだ。

どうにか一命は取り留めたが、それからは

医師からも両親からも長期休学を取るよう言われ、

学校を長期休学して、病院に入院した。

それまでは、欠席や遅刻や早退を繰り返しても

学校には通っていたので、かなりショックだった。

そして時が進むごとに、私の心臓は確実に

悪化していった。

そのまま学校には行けず、中学校生活を終えた。

そして何とか都内の私立高校に進学したが、

まだ私は一度も登校できていない。

毎日病室と、病院の敷地内で過ごす日々。

ごく稀に出る外出許可でも、

すぐ近くにしか行かせてもらえない。

危険なのは分かるが、

あまりにも閉じ込められすぎて毎日辛い。

でも私はもうこんな状態も一言で

すっと納得できてしまう。

『これが私の運命だから。』

運命は、生まれつき決まっているもの。

だから、変えられるわけがない。

そんなこんなで私はやりたいことも全て

諦めていた。