未知の世界6


「佐藤さーん、起きてください。」







何度も呼んでもらってることは分かってるんだけど……眠くて起きられない。





もうすぐ回診だから起きるように、そして検温を済ませておくようにと……。





何とかして脇に体温計を挟むと、看護師さんは部屋を後にした。






その後ろ姿を見ながら、再び……眠りについた。






『起きなさいっ。』






頬をペチペチと叩かれて、目を開けると、








「ワッ!」






目の前にお父さんがいた。





さっきの出来事からどのくらい経ったのか分からないけど。






眠気が一瞬で冷めた。






『おはよう。




かなちゃん、起きてなくちゃダメだよ。





今朝の体調のことをちゃんと聞きたいからね。』






そういうと脇に挟まったままの体温計をお父さんが抜き出して、表示を確認する。








何も言わずに看護師さんに渡す。






何度だったのだろうか……。






『聴診するよ。』






いつもはお父さんが勝手に聴診を始めてるけど、これ以上怒られることがないようにと、自分でボタンを外す。






『はい、吸ってー。吐いてー。』






何度か繰り返される言葉は、まるで催眠術のように私を眠りに誘っていく。






静かな時間が過ぎていく。






『はい、終わったよ。』






パチンっと指を鳴らされたように、その言葉で催眠術は解けた。





『昨夜は眠れなかったみたいだね。他に変わったことはなかったかな?』







「発作ではないんですけど、喉が乾くと空咳が出ました。」







『そうだろうね…。少し雑音が目立つからね。
一度進藤くんにも聴診してもらうね。





それから、咳が出たら、その時に教えてね。』





「はい……。」






返事をすると次第に睡魔が襲ってきた。





もう終わりだし、眠っていいよね……。






とウトウトしかけたところで……





『こら、起きてなさい。
また今日も眠れなくなるよ。』






そう言われ眠い目をこすり体を起こした。






眠い……。





体を起こしても変わらず眠くなってしまう。




お父さんたちは部屋を後にして、そのまま私は眠りについた。