ガチャ
寝室で着替えていると、ノックもなく扉が開く。
『ただいま』
入ってきた幸治さんを見てホッと胸をなでおろす。
「おかえりなさい。」
『急に決めて悪かったな。』
今日のことを言ってる。
「びっくりしたけど、お母さんが来てくれて助かった。」
『あいつは親父たちのことも知ってるからな。ってか、俺よりも仲良いかもな。』
確かに仲良さそう。
「あ、泊まる部屋とか…」
『あぁ、それは大丈夫だ。
今朝綺麗にしてから出勤したから、っても進藤先生がほとんどそうしといてくれたんだけどな。』
そっか、それなら私のやることはお母さんの手伝いくらいかな。
『ってか、かな……』
私に近づいてくる幸治さん。
「え?」
突然接近されて、額に手を当てられ驚いて咄嗟に離れる。
『動くなって。』
少し怒り口調でまた近寄ってくる幸治さんは、私の額に手を当てる。
『……ん?気のせいか。』
熱でもある?
と自分で額を触るけど、熱はなさそう。
『疲れてるんじゃないか?』
「う〜ん、疲れてないと言ったら嘘かなぁ。でも、体はしんどいとは思わないかな……。」
うん、たぶん……。
『ま、今日なんかあっても、何とでもなるからなっ』
と笑う幸治さん。
確かに、お父さんと幸治さんだけじゃなくて、椎名先生もいるしね。
なんて話してると、リビングからご飯ができたとお母さんの大きな声が廊下に響いた。



