部屋はどうなっていたかな…フル回転で昨日のことを思い出す。
進藤先生と幸治さんの飲み明かした後はどうなっているだろうか。
ゲストルームでもないけど、進藤先生がほとんど寝止まりしていく部屋は綺麗だろうか…
部屋に着いたらまずはどうしたらいいのか…。ご飯?それともお風呂?
色々なことが頭を巡っていたけど、そういう時のエレベーターはものすごい速さで上がって行く気がする。
気付くと玄関の扉を開けていた。
ガチャ
扉を開くと……
あ、靴が二足?
見覚えのある靴が二足。
「お母さんと、お父さん……?」
『たぶんな。』
となぜに椎名先生が知っているのだろうかと思いながら、お客さん用スリッパを取り出し、椎名先生に進める。
『ありがと。』
と言いスリッパを履くと、スタスタと私の前を歩いてリビングに向かう。
リビングを椎名先生が開けると、
『お久しぶりでーす。』
と軽い挨拶で入っていく。
お久しぶり?
『おぉ、よく来てくれたなぁ。』
と私も少し久しぶりなお父さんが、我が家のようにソファに座っている。
そして台所にはお母さんが立っていて、テーブルの上には料理がずらりと並んでいる。
「お母さん。」
その姿に感謝しかない。
たった今まで私が巡らせていた段取りは一気になくなり、スッと楽な気持ちになった。
『かなちゃん、おかえり。
椎名くん、久しぶりね。』
そう言ってお母さんも椎名先生と顔なじみのよう。
上着を脱いで、我が家のように洋服掛けに服を掛ける椎名先生の隣で、つい、ボーっと立っていると、
『かなちゃん、元気にしてたか?』
そう言ってソファから立ち上がったお父さんに、きつく…いや厚く抱擁される。
「は、はい。」
『よしよし。』
と頭を撫でられる。
『かなちゃんも着替えておいで、もう幸治も帰ってくるから。』
そう言われて、この様子なら椎名先生は大丈夫だろうと確信して、部屋に荷物を置きに行った。