『いただきます。』





三人で囲む食卓に並べられたのは、私の好きなお店のお弁当。
心臓に負担のない低カロリーな健康的なおかずばかりのこのお弁当は、私の大好物。
お昼はゼリーしか食べてないので、今日はたくさん食べらるっと意気込んだものの……。






「…………うぷ。」






開始早々、空腹で勢いよく口に入れたおかず。
半分いったところで……箸が止まり……胃から込み上げる。






『食欲、ない?




っと言っても結構食べれたね。』





そう、私にしては結構食べた方。




「お腹空いてたので、最初は食べれたんですけど……ね。」





私の胃は、昔に比べて小さくなったのか……やっぱり食べられない。






『まぁ、無理しないで。薬はちゃんと飲もうね。』





「はい……。」





珍しく優しい言葉に、胸が若干熱くなる。



『研修中の食欲は?』






食べられないお弁当を幸治さんに食べてもらおうと、手渡ししていると、進藤先生から聞かれた。




「緊張しっぱなしなので……正直、お腹が、空かないです。」





『そうだよねー。僕もオペの時は緊張してて。終わってからも食欲なくて、あの当時は体重減ってたなぁ。』





え?進藤先生もオペ?





「先生も外科にみえたんですか?」





『あぁ、専門としてるのは呼吸器内科と小児科だけど、昔は外科の医者も少なくて、同じようにオペ室に入って執刀してたんだよ。』






すごい……何でもできるんだな。
いつもの進藤先生からは患者よりも病気を診るスーパードクターよりも丁寧、患者に密着ドクターみたいな感じなのに。



スーパードクターでもあったんだね。





『かなちゃん、分かりやすい。
すごいキラキラした目で見てる。』





「あ、いや。
いつもすごい方とは思っていたんですけど、またさらに……」






『そうだよ。そんなすごい僕にしっかり診てもらってるのに、色々問題起こすんだもんなぁ。』






ハハと笑った進藤先生に、何も言えず顔が赤くなった。





三人が食事を終えて、進藤先生と幸治さんがビールを開け始め、私はダイニングでお茶を飲む。






二人がテレビをつけて、色々な話をしている。





いつもなら怒られてばかりだけど、今日は違ってとても穏やかな時間。
幸せな暖かい時間を眺めながら、ウトウトし始めた…。






眠い……








そのまま机に突っ伏して眠ってしまった。