「おはようございます」



挨拶して外科の医局へ。
小児科の医局と変わらないんだけど、ここの方がごつい人が多い気がする。
体を鍛え上げてムキムキな人が…。
女の先生ですら鍛えられている。



小児科では幸治さんと石川先生くらいだけど。あ、でもたけるが最近筋トレに励んでるとかどうとか、まいが言ってたな。





『今日は小児科のオペだったな。
小児科はこれで最後だからよく見ておくようにな。』




「はいっ。」





そう、うちの病院は小児外科がないので、頻繁にオペはない。最初からオペの必要な小児科は第二やごな病院へ行く。こっちが第一なのに第二に小児外科があるのは、第二の方がもちろん後からできているのだけど、作るときに人員やら医局やら病床やらと確保できたからだ。




今回のオペの内容は研修の間にも二回ほどあった。医局で挨拶して、今度はミーティングの前にオペ看のところへ。







『今日も熱心ですね、先生。』





オペ室に行くと既に準備を始めようとしていた看護師から声を掛けられる。何年選手なのか分からないけど、古巣だと言うことは見た目から判断できる看護師。




『ジュニア先生の恋人、分かりましたよー。』




もう一人の看護師がニタニタした顔でたけるを冷やかす。
マスクも帽子もしていて目しか分からないけど、ニタニタしてることはよくわかる。
この看護師も私たちより医療に長年携わっている大先輩。
ジュニアと呼ばれても、たけるは何も言い返せず愛想笑いだけをしている。





病院にはものすごい数の看護師がいるが、女の情報伝達はすごくて、変な噂もいい噂も1日で全員が知ってるんじゃないかってくらい早い……。だからこそ下手なことはできない。
たけるが同じ病院の看護師と同棲しているという話は一瞬で広まり、そしてどの科で働いているかもバレた、昨日。この二人の看護師によって。
きっとたけるは昨夜まいにこっぴどく叱られたに違いない。





『先生たちみたいな真面目な人が担当してくれたら、さぞ患者さんも心強いだろうね。
頑張んなよっ!』




ドンっ!ドンっ!





たけると私は背中をど突かれる。これにも慣れっこになってきた。




今日のオペは10時から。



前日の夜から絶食して、当日朝も何も食べないで10時スタート。お昼を越してオペが終わり、体が落ち着くころには夜か寝る前。




オペの終わった夜にゼリーなどで食事をとる子もいるけど、その日は疲れて1日が終わり、翌日から食事をとるけど痛みとの戦いでそれどころではない。と最後のところは私の経験からなんだけどね。