ファイルには、途中からものすごい数の患者さんの手術が行われていた。





その患者さん全ての予後も確認した。






アメリカにはたくさんの人が住んでいる分、日本では稀な症例の患者さんがゴロゴロいる。





そして世界からアメリカのこの病院にやって来た人たちもたくさんいたようで。




私と同じ症例の患者さんもものすごいいた。





私のように移植した心臓が大きくならなかったり、元々心臓が小さかったり。





そこに細胞を少しずつ入れて、心臓の経過を観察する。





何度もやるので何年かに渡って行われるけど、ずっと入院している必要はないようだ。





そっか…それで孝治さんのお父さんは、なかなか日本に戻れなかったんだ。






孝治さんが幼少期を一人で過ごしたことがある、と言うのは、こういうことだったのかな。







それにしても…すごい研究。こんなこと、普通じゃ考えられない。







病院で患者さんと向き合うのが医者だと思っていた私が、医者であった全ての時を研究に費やしていたお父さんやお母さんたちを、今一番に医者として尊敬している。







『どうだい?かな?この手術、受けてみないかい?』






そう聞かれた私は…即答した。