ファイルを開いて一番に目に入ったのは、お父さんとお母さん、ジャクソン先生に孝治さんのお父さんの名前…。





これって…






顔を上げるとジャクソン先生が頷く。






『まさかこれを、君にすることになるとは思ってもなかったよ。』






一枚ずつ資料をめくっていき……








何時間かかったのか…







読み終わる頃までそばにいてくれたジャクソン先生。






「ふー…」






『はい』






と出されたのは水の入ったペットボトル。





手に取って口にすると相当喉が乾いていたことがわかった。






「ありがとう…ございます。」





水のお礼を口にする。






『どうだい?この研究について。どう思う?』





ファイルに書かれていた内容はものすごい高度な研究で、私が産まれる前から行われていたものだった。






研究途中でお母さんの名前が少なくなっているのは、きっと私が産まれたからだろう。






そしてその研究は、私が産まれるまでに完成していて、これから治験に入るところだったことがわかる。





その当時治験をした患者さんの予後もしっかり記載されている。




その後お父さんとお母さんの名前が出てこないのは…





そう思うと、次第に胸がギュッとなるのがわかった。





『かな?大丈夫か?』





胸元をきつく握りしめる私に、慌てて駆け寄るジャクソン先生は、すぐに酸素マスクを用意してくれる。





すかさず胸元に入れられる聴診器。





「はぁはぁはぁ…」






少しずつ落ち着きを戻していくけど、






ジャクソン先生の聴診器は離れない。







日本にいるお父さんと一緒で、まるで心電図でもとってるかのような聴診の仕方。





もしかしたら、お父さんもお母さんもこうだったのかな?






そんなことを考えられる頃には胸も呼吸も落ち着いていた。






知らない間にやってきた看護師さんに、点滴までされて。