部屋に戻るとすぐに着替えて、急いで病院に向かった。




ジャクソン先生はゆっくりって言うけど、自分より立場の上の人が先に職場に着くなんて…






と思ったけど、ここはアメリカ。そんな考えは日本人しかいない。






それでも体は正直なので、気づくと医局に着いていた。






『かな、早かったね。




そうだ、ちょっといい?』





朝までずっと一緒にいたジャクソン先生は、白衣がないだけで医者という存在が薄れていた。
それなのに今こうやって病院で、白衣を着て、首に聴診器を掛けている姿で医者であることが明確に分かり、なおかつ自分よりも目上に立っていることがはっきりと感じられる。





そんなジャクソン先生が私を連れて行ったのは医局内のミーティングルーム。





向かい合った椅子に座るように指示された。






『これが昨日の検査結果』






数枚に渡る検査結果は肺と心臓のそれぞれの検査を数値にしたものだった。





『数値的にはそこまで悪くないね。
心臓に異変があったのは、不規則な生活と薬を飲まなかったことにあるかもしれない。





しばらくきちんと薬を飲んで、早く仕事まで上がれるようにして、また検査しよう。





あまりにも悪くなるようなら休みをとるか、入院だと思ってたけど、これなら大丈夫そうだね。』






はぁ、、良かった。






研修に来ていて入院になってしまったら大変。何しに来たのか分からない。






「ありがとうございました。」






頭を下げて椅子から立ち上がると、






『かな、あのコテージは君はいつでも出入りしていいんだからね。
近いうちにスペアキーを作っておくから。』






ジャクソン先生はニッコリ笑いながらそう言った。




「ありがとうございます。」






もう一度お礼を言って立ち去ろうとすると、





『そうだそうだ…






吸入器があるから、貸すよ。毎晩やるんだよ。』






突然そんなことを言われて不意をつかれ、






「あ、あ…はい。」





と微妙な返事をしてしまった。