研修明けは毎日の吸入に、久しぶりの外来で外科研修に比べたら体は楽だったけど、相変わらずの忙しさだった。
それでも早く帰れたし、充分な休息。




検診も決して良い結果ではなかったものの、入院してどうこうとか、当直を辞めて……とかでもなく。
ただただ今まで通り生活での注意点を忠告されて終わった。





ということは、また再来週から始まる第二やごな病院での外科研修は大丈夫だということのようだ。





『なぁ、明日と明後日って予定ある?』





検診を終えた夜、台所で洗い物をしてた私に幸治さんが尋ねる。




「いえ、明日も明後日も仕事はないですよ。食料の買い出しくらいかな。」





と答えながら、何かやらなきゃいけないことを忘れていたかな…と考える。





『そしたらさ、久しぶりに泊まりで温泉にでも行かないか?』





「えっ!?」





突然、幸治さんから温泉に行こうだなんて…




『ここのところずっと忙しかったし。その前は体調も悪くてそれどころじゃなかったしな。



また忙しい日が待ってるんだから、どっか出掛けるなら明日しかないだろ。』





そんなことを考えてくれていたなんて、すごく嬉しい。
どこに泊まろうか…急いで決めなきゃなんて洗い物を終えながら考えていると。






『ここは?』





リビングのソファに座りながら、携帯で宿泊できそうな温泉宿を見つけたようで。





「速いですね、見つけるの。」





と言いながら幸治さんの携帯を立ったまま覗き込む。





ん!?部屋にお風呂付いてる!
これはまさか…以前泊まったお風呂と同じような……。





『こっちに座れよ。』




そう言われて幸治さんの隣に座らさせる。携帯に釘付けの私の服に……何気に刷り込まれる幸治さんの手。





ん?





『前からここにしようと思って、目星付けといた。』





と言いながら私の頬にキスをする。






『ん。空いてるみたいだし、そこの決定ボタン押しといて。』





ん?幸治さん?幸治さんのスイッチ、入りそう。





顔中にキスされながらも、何とか決定ボタンを押して、携帯を幸治さんに渡そうとするけど受け取らない……




幸治さんのスイッチを押してしまったようで。





『やっと……。




ずっと我慢してたんだからな。』





頭の後ろに手が周り、しっかり掴まれると前からは幸治さんの唇。






熱い……口の中。






どんどん迫ってくる幸治さんに、携帯…落としそう。




と考えながらも私のスイッチも入りかける。




幸治さんの手が私の服の中で暴れる。
ほとんど脱がされたズボンを、自分で蹴り下げ、すかさず幸治さんの手が伸びる……





「んっ、あっ……」








トゥルルルルー!!!




と、いいところで……まさかの……電話。






『もしもし…佐藤です。』





甘いムードの幸治さんは、電話のコールで一瞬に元に戻る。電話の相手は病院なのか、一瞬で医者に早変わり。






ガチャ






『呼び出しだ。』





服を直してソファに座っている私に幸治さんが少し残念そうな顔をしている。
いつもなら嫌な顔一つせず、むしろ患者さんのことになると積極的に準備してすぐに家を出るのに。
今日は違ったみたいで。






『……荷物、用意しといてくれるか?』






「え?」






『もし明日の朝までに終われば、病院に荷物持って来て。そのまま出掛けよう。





続きは明日……。』





私の額にキスをした幸治さんは、出勤カバンを持って、病院に向かった。




一人残された私は、幸治さんに触られてた体をもう一度触ってみる。





熱い幸治さんのキス……。思い出しただけで、身体中がゾクゾクしてくる。




いやいや、こんなことしてる時間はない。
温泉の準備しなくちゃ。