『おはよう。』






えーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!






まさかのそこにいたのは、ジャクソン先生だった。







『お、おはよう…ございます。





え?え?先生?』






『どうぞ、ここに座って。』







私の指導係で仕事のパートナーで、そしてまさかのお父さんの友達で私のことを頼んだという先生が…






ジャクソン先生!?






っていうことは、指導係も仕組まれたことだったのか?






何だか色々な疑問が頭をよぎる。





『待ってたよ。なかなか来ないし、休みをとる気配もないから、こちらから声をかけた方が良かったのかと思ってたけど。』






「す、す、すいません…」





もう何も話せない…色々知られ過ぎて、ボロが出そうで。





『さっそく診察しようか。』






そんなことを言われるけど、体が動かない。






すかさず近くにいた看護師さんが私の後ろに回って服をめくる。





突然、恥ずかしさと、胸の傷を見られることが怖くなり…





『かなー。』





思わず服を下げてしまった。






『知ってる間柄だから?』





違う気もする。胸の傷を見られることの方が嫌…






なぜか分からないけど。






私のカルテを全て知ってる先生なんだけど、それでも嫌だと思ってしまった。






『分かったよ。首元から入れさせて。いい?』






日本と違って強制しない、大らかなところがアメリカなのか…?





首元からなら大丈夫と、頭を縦に振る。





『吸ってー吐いてー』





何度も繰り返すほど、丁寧な診察。






先生のリズムに合わせれなくて、





「ゲホッ」





と咳が出る。痰の絡んだ咳…。





『咳の症状は出てた?』






「いえ、特に何も。」






そう答えるけど、すぐに





『ん?何もない?本当に?』






心臓を聴診する先生が、いつもと違う表情で私を見つめてくる。





『心電図とるけど、何か異常なかった?』





そこまで言われて、ハッと気づいた。





昨日……そういえば。






「夜に…胸がちょっと痛かった
…ような。」






『それならすぐにここに来なくちゃ。隣なんだから。』






「はい…すいません。」







『かな、すいませんっていつも言うけど、謝って欲しいわけじゃないんだからね。』






「すいません…。」






また言ってしまった。日本語でもいう癖があるから、英語でも、そのまま気持ちを訳してしまう。
英語だからこそ、説明できない気持ちも、全てそれで返した方が楽だというのもあるけど。






『心電図に血液検査に………』







心臓に肺に、できる検査を全て指示して言い終わると…。






『かな、僕が主治医ということは、病気から逃げるなんて、させないからね。』








ニコッ






と笑った笑顔はもはや闇が隠されていた。






背筋が凍るような思いがしたので、すぐに目を覚ました。






こ、怖い…






やばい人に出会ってしまった…