目が覚めると…
あれ?
胸のあたりはスッキリしていて、ザワつきも痛みさえもなかった。
「はぁ……」
何だったのかな…
起きてご飯前の薬を済ませて、朝の準備をして仕事に向かった。
たけるに話そうと思っていたけど、たけるは夜中に呼び出されたのか、朝にはいなかった。
寮の隣が病院だけど、今日は足取りが思い。
たけるがいないせいかな…
ジャクソン先生に問い詰められたせいかな…
それとも、昨夜の………
思い出したくない。
ブルルルルルルル…
携帯のバイブが鳴る。
表示を見ると『幸治さん』
あ…ずっと連絡するの忘れてた。
「もしもし…」
『ようやく繋がった…
いつになったらそっちから連絡が来るのかと思ってたけど、なかなか来ないから、何度も掛けてたのに。』
ため息混じりで呟く孝治さん。
「すいません…こっちの病院の関係者からしか、携帯を鳴らさないようにしていて。」
『それでもかけれる時はあっただろ?』
「はい…本当にごめんなさい。」
『今は大丈夫?』
「はい、寮から病院に歩く途中です。」
『なら手短に。薬は飲めてるか?』
「はい。あ…少し飲めてない時も」
『えっ!?忙しくても飲まないと倒れるぞ。』
「はい…」
『もうそろそろ切れる時だから、そっちの病院に必ず受診するんだぞ。』
「はい、分かりました。」
そう返事をすると、薬は必ずちゃんと飲めと念押しされ、電話は切れた。
呆気ない電話に久しぶりの声を惜しむ時間もなく…
孝治さんに言われた、こちらの病院での受診について、いつにしようか…それをジャクソン先生に言うべきか…また考えることが増えてしまった。