朝起きて、ベッドから降りる。
立って、歩く。
少し、フラついたけど昨日と変わらない。
昨日より、ひどくなっていない。
その事が、
それだけでも、嬉しい。
「おはよう!」
身支度を整えリビングに入り、笑顔をつくってお父さんとお母さんに挨拶する。
コーヒーのいい香りが鼻をかすめる。
「おはよう、芹那」
「おはよう、今日から新学期だな」
「うん、制服久しぶりー」
そう言って椅子に座る私に、
お母さんは心配そうな顔を浮かべる。
「やっぱり学校まで車で送ろうか?」
「もー、昨日散々話したでしょー?
大丈夫、ちゃんと歩けるから」
投薬とリハビリを頑張っても、
今後フラつきから転倒する危険は増える。
咄嗟に手が出ないから転倒が大きな怪我に繋がる恐れもある。
それでお母さんは心配して今後は車で送ると言っていたけど…、
「歩きたいの。
私、まだ歩けるんだもん。
だったら自分の足で歩きたい」
「…そうよね、
ごめんね、お母さん余計な事ばかり言っちゃって…」
「心配してくれてるんでしょ?
ありがと。
もし、歩くのがキツくなったりしたらその時は甘えさせてね」
「ええ、もちろん!
先生にも昨日、お話して理解して頂いてるからね」
「うん」
進行する事が分かっているから、学校でも迷惑かけてしまう。
だから病気の事隠しておく訳にはいかなかった。
「お母さん、私の病気の事みんなには…」
「大丈夫、お友達やクラスのみんなには病気の事は言わないで下さいってお願いしたから。
病気の事は伏せて、今後は芹那をクラスのみんなで助けていくようにするって言って下さったわよ」
…良かった。
治らないとか、今後歩けなくなるとか、
やっぱり知られたくない。
学校では今まで通り、普通の女の子として過ごしたい。
「今日からリハビリの先生がつくからな。
学校が終わったら病院に来るんだよ」
「分かってる。
ねぇお父さん、リハビリの先生ってイケメンかな?」
「どうだろうなぁ?
お父さんは病院のみんなイケメンだと思ってるけど」
「えー、それってお父さんも含まれてるの?」
「ほらほら、おしゃべりもいいけど早く食べないと。
涼太君来ちゃうわよ?」
いつも通りの朝、
だけど、無理に作っている感じもする。
玄関には今まで履いていたローファーはなくて、
代わりにスニーカーが置かれている。
少しでも足首をしっかり固定するため、ローファーはやめた方がいいと言われた。
…ローファー、好きだったのにな。
「芹那?
どうしたの?」
スニーカーを見ていた私を、お母さんが後ろから心配そうに覗いてくる。
「…何でもない!
いってきます!」
スニーカーを履き、ドアを開き外に出る。
冷たい風が身体を包む。
「おはよ」
門を出ると同時に耳に響いた涼太の声。
「タイミングばっちりだな」
そう言って笑う涼太に、
私は飛びっきりの笑顔を作る。
「おはよ、涼太!」
せめて、今はあなたの隣を歩いていたい。
立って、歩く。
少し、フラついたけど昨日と変わらない。
昨日より、ひどくなっていない。
その事が、
それだけでも、嬉しい。
「おはよう!」
身支度を整えリビングに入り、笑顔をつくってお父さんとお母さんに挨拶する。
コーヒーのいい香りが鼻をかすめる。
「おはよう、芹那」
「おはよう、今日から新学期だな」
「うん、制服久しぶりー」
そう言って椅子に座る私に、
お母さんは心配そうな顔を浮かべる。
「やっぱり学校まで車で送ろうか?」
「もー、昨日散々話したでしょー?
大丈夫、ちゃんと歩けるから」
投薬とリハビリを頑張っても、
今後フラつきから転倒する危険は増える。
咄嗟に手が出ないから転倒が大きな怪我に繋がる恐れもある。
それでお母さんは心配して今後は車で送ると言っていたけど…、
「歩きたいの。
私、まだ歩けるんだもん。
だったら自分の足で歩きたい」
「…そうよね、
ごめんね、お母さん余計な事ばかり言っちゃって…」
「心配してくれてるんでしょ?
ありがと。
もし、歩くのがキツくなったりしたらその時は甘えさせてね」
「ええ、もちろん!
先生にも昨日、お話して理解して頂いてるからね」
「うん」
進行する事が分かっているから、学校でも迷惑かけてしまう。
だから病気の事隠しておく訳にはいかなかった。
「お母さん、私の病気の事みんなには…」
「大丈夫、お友達やクラスのみんなには病気の事は言わないで下さいってお願いしたから。
病気の事は伏せて、今後は芹那をクラスのみんなで助けていくようにするって言って下さったわよ」
…良かった。
治らないとか、今後歩けなくなるとか、
やっぱり知られたくない。
学校では今まで通り、普通の女の子として過ごしたい。
「今日からリハビリの先生がつくからな。
学校が終わったら病院に来るんだよ」
「分かってる。
ねぇお父さん、リハビリの先生ってイケメンかな?」
「どうだろうなぁ?
お父さんは病院のみんなイケメンだと思ってるけど」
「えー、それってお父さんも含まれてるの?」
「ほらほら、おしゃべりもいいけど早く食べないと。
涼太君来ちゃうわよ?」
いつも通りの朝、
だけど、無理に作っている感じもする。
玄関には今まで履いていたローファーはなくて、
代わりにスニーカーが置かれている。
少しでも足首をしっかり固定するため、ローファーはやめた方がいいと言われた。
…ローファー、好きだったのにな。
「芹那?
どうしたの?」
スニーカーを見ていた私を、お母さんが後ろから心配そうに覗いてくる。
「…何でもない!
いってきます!」
スニーカーを履き、ドアを開き外に出る。
冷たい風が身体を包む。
「おはよ」
門を出ると同時に耳に響いた涼太の声。
「タイミングばっちりだな」
そう言って笑う涼太に、
私は飛びっきりの笑顔を作る。
「おはよ、涼太!」
せめて、今はあなたの隣を歩いていたい。